ずいぶん前のことだけれど、友達が「天河弁財天」のお祭りに行って感動したと話してくれたことがあった。ずっと忘れていたのだけれど、最近になって、ふっと記憶が蘇り行ってみたくなった。土日でふらっと出かけるつもりが、ちょうど上手い具合に休みがとれたので二泊三日の小旅行になった。
天川村に行くには、近鉄の下市口と言う駅からバスに乗る。ところがシーズンオフの今は、バスが一日3本しかない。現地でゆっくりしたいから、お昼ごろまでには天川に着きたいなと思ったら、午前中のバスは、午前8時47分発の1本だけしかない。

下市口では3人いたバスの乗客も、途中からは、ぼく一人だけになってしまう。バスは、こんな山道を天川村目指して登って行く。写真を撮ったところは、ちゃんと二車線あるが、途中、道路が一車線しかない場所もある。対向車が来たら、一旦停止してギリギリですれ違うのだけれど、そのあたりの呼吸は、さすがにバスの運転手さんも地元のドライバーも馴れたものである。

まずは、話に聞いていた天河弁財天へ。神社はバス停のすぐ目の前にある。

こじんまりした神社ではあるけれど、全国の弁財天の総本社にあたり、芸能人の参拝も多いと聞く。内田康夫の長編推理小説「天川伝説殺人事件」に登場したり、スピリチュアル系の人達の間では、パワースポットとしても有名らしい。

手水を使おうとしたら、柄杓の柄の部分が氷りついていた。水は湧き水らしい。口に含むと清清しい。

この階段を登ったところが拝殿になる。この神社の鈴は、3つの鈴が繋がった独特の形をしている。普通の神社の鈴は、カランカランと鳴るけれど、ここの鈴は、ゴーンと重々しく響いた。
それにしても寒い・・・。早々に神社をあとにして、近くの天の川温泉(てんのかわおんせん)へ向かう。歩いて5分ほどだろうか?しかし、到着してみると、まだ開いてない。営業は11時からとかで、あと1時間ほど待たなければいけない。
ダウンとかセーターとか着込めるだけ着込んだうえに、カイロを3つも貼っているのだが、とにかく寒い。友達にメールを送ったりして、なんとか気を紛らわそうとするが、手がかじかんで思うようにキーが打てない。11時ごろには、身体もすっかり冷えきっていた。
温泉の隣にある食堂で、まずは、熱い月見うどんを一杯食べる。ようやく身体も温まり、生き返ったような感じがする。
いざ、天の川温泉へ!それほど大きくはないが、露天風呂もあって、なかなか快適なお風呂である。シーズンオフのためか空いているのが、ありがたい。身体の芯までゆっくり時間をかけて温まる。バスの時間まで、休憩室でのんびりする。
今日お世話になる民宿大谷屋さんに向かう。天の川温泉から中庵住(なかいずみ)行きのバスで10分ほど、栃尾と言うバス停で降りる。地図がなかったので、上手く見つけられるだろうか・・・と思っていたら、バス停の目の前にあった。
チェックインの時間には、まだ早い。時間を潰そうと思うが、喫茶店もコンビニもない。とにかく寒い。恐る恐る行ってみると、宿の方は、快く部屋に案内して下さった。そのうえお風呂まで沸かしてもらい少し恐縮する。

宿の部屋で出迎えてくれたカレンダーもなんだか懐かしい感じがする。モデルさんは誰だろうと思って、良く見ると「眞鍋かをり」と書いてあった。夕食まで時間があったので、メールでもチェックしようと思ったら、私の携帯は圏外になっている。もしかしたらdocomoとかなら通じるのかも知れないが・・・。諦めて、とことんのんびり過ごすことにする。
天川村(2日目)
朝から暖かくて良いお天気になる。昨日は、寒さのあまり早々に退散してしまった天河弁財天にもう一度出かけてみることにする。朝のバスは7時前に民宿の前を通り過ぎてしまった。次のバスは夕方だ。

少し距離はあるけれど、のんびり歩いてみることにする。杉の木立の間を抜ける道を歩いて行く。途中、ところどころで携帯電話のメールを受信しようと試みるのだが、相変わらず圏外である。

道は、川に添った一本道なので迷う心配はない。杉の間から川の流れが見える。

日陰には、つららが出来ていた。

1時間ほど歩いたころ、ようやく天の川温泉が見えてきた。ここまで来れば、あと少しだ。

まずは、天河弁財天に行く前に、別宮に立ち寄る。標識などは、特になかった。こんな感じの道を歩いて行く。

辿りついた神社は、こんな感じである。人影もなくひっそりとしていたが、ぼくはこちらの方が好きだなぁ。

天河弁財天。ちょうど、ぼくが行ったときには、御祈祷のようなことをされていた。独特のリズムがあって、まるで音楽みたいだ。素晴らしいなぁと思いながら、じっと最後まで聴き入ってしまった。御祈祷を受けている人が、すごく羨ましかった。ぼくも、いつかまたここに来ることがあったら、ちゃんと昇殿して御祈祷を受けてみたい。

弁財天の向いにある来迎院の大銀杏。この季節は、葉っぱがないけれど紅葉のころなどは、さぞかし見事だろう。
天の川温泉でゆっくり休んだら、また元気が出て来たので、帰り道も歩くことにする。さすがに夕方になると少し肌寒い。

途中、小さな吊り橋があった。一度に一人しか渡ってはいけないらしい。ちょっと不安になるが、思い切って渡ってみる。でも、渡った先には、なにもなく、結局また吊り橋を渡って元の道に戻る。
日が暮れる前に宿に帰る。今夜はぐっすり眠れそうだ。
天川村(3日目)
とうとう最終日になってしまった。朝食を食べたあと、宿の女将さんに教えて貰って円空仏を祀った栃尾観音堂に行く。

こんな道を歩いて行く。民宿から歩いて5分ほどである。

小さなお堂である。あたりは、静まりかえっている。一応、のぼりが立ってはいるが、観光地ではなく、地元の方が訪れるような感じである。
お堂の中に入って参拝させて頂くことにした。とっても素朴で優しいお顔をされている。高い場所から見下ろすのではなく、すぐ近くに寄り添っているような感じがした。ぼくは不意打ちを受けたように感動して、思わず涙が出そうになった。
⇒天川村のホームページ
⇒天の川温泉(日帰り温泉)
⇒天河弁財天のホームページ
⇒栃尾観音堂
⇒じゃらんnet大谷屋
(今回とってもお世話になった宿)